虫の声に、次の季節を聞く

昼間には、まだ蝉の声が聞こえます。

ところが夕方になると、草むらから違う音が聞こえてくることがあります。

リーン、リーン。
チリチリ、チリチリ。

秋の虫たちの声です。

俳句の世界でも「虫」は秋の季語。昔の人は虫の声を単なる音ではなく、秋の訪れを知らせるものとして楽しんできました。

『源氏物語』や『枕草子』などにも、虫の音を愛でる場面が登場します。

千年も前の人たちが聞いていた虫の声を、私たちも今、同じ季節に聞いている。

そう思うと、少し不思議な気持ちになりませんか。

便利なものは大きく変わっても、季節を美しいと思う人の心は、それほど変わっていないのかもしれません。

今日は夕方、スマートフォンを少し置いて、耳を澄ませてみてください。

蝉の声の向こうから、小さな秋が聞こえてくるかもしれません。